柴門:不倫してる読者って実際はあまりいない。「私も不倫してます」みたいな反応はなくて、読みものとしておもしろいという感じかな。
林:年上のキャリアウーマンと不倫してる若い男の子、あの関係いいですよね。ふつうは途中で若い男に捨てられるのがパターンなんだけど、若い男のほうが夢中になって、「ご主人と別れてください」と言って。
柴門:年増女の妄想の友(笑)。昔、ルノー・ベルレーの「個人教授」というフランス映画があったでしょう。
林:はい、ありました。私が高校生のころかな。
柴門:あの映画が大好きで、あのカップルを元にしてるんです。年上の人妻と若い真っ直ぐな純情青年との恋。あれが王道なんですよ。
林:でも、実際はないですよね。
柴門:いや、フランスのマクロン(大統領)とか。
林:あ~、マクロン! 奥さん、高校のときの先生ですよね。いい話じゃないですか。
柴門:妄想の友(笑)。
林:でも、ベッドシーンのあのいやらしさって、どこでどうやって知ったんだろうと思って(笑)。
柴門:ベッドシーンは映画とか写真とか、DVDを一時停止したり、あと浮世絵。春画の足の指の反りかえりとか、ほんとにリアルなの。浮世絵師は男と女を実際にまぐわいさせてスケッチしたんじゃないかと思うぐらい。林さんは?
林:私はすごく遊んでる男の人にメールして聞いたりしてる。微に入り細に入り教えてくれるから、ほんとにありがたい。
柴門:でも、男の言うことは自慢話でホラ話が多いから、あまり聞かないほうがいいかもしれない。私、すごいプレーボーイに取材したときに、「俺は前戯だけで2時間かける。だから女は俺から離れられないんだ」とか自慢されたので、「2時間って、それ途中で女寝てますから」と突っ込みました(笑)。
林:そうなんだ。
柴門:女の子はおもしろい、正直で。それも『恋する母たち』にけっこう投影してるんです。
【後編/「東京ラブストーリー」で再ブームの柴門ふみ、究極の好みは「あすなろ白書」の筒井道隆】へ続く
(構成/本誌・松岡かすみ、編集協力/一木俊雄)
※週刊朝日 2020年6月26日号より抜粋
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