あの「東京ラブストーリー」から29年。恋愛漫画の名手、柴門ふみさんが40代の恋をテーマに描く『恋する母たち』が注目を集めています。マリコさんとは40年来のお付き合いで、互いの歴史を見守り合う仲。乳がんを乗り越え、あらためて人生を考えたという柴門さんの今に、作家の林真理子さんが迫ります。
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林:柴門さん、自分が望んでるか望んでないかわからないけど、最近、また何回目かの“柴門ブーム”という感じですよね。「東京ラブストーリー」もリバイバルされたんでしょ。
柴門:そうなんです。令和版が。昔の「東京ラブストーリー」と、新しい令和版「東京ラブストーリー」が、FODとアマゾンプライムの配信サービスで見られるんですよ。若い人なんか昔のをぜんぜん知らないから、両方比較して見てるみたい。
林:まあ、ぜいたくな。
柴門:今回の令和版は、平成の織田裕二、鈴木保奈美より原作に忠実なんです。比較して見ると、平成版はカンチとリカのスターとしてのピカピカ感がすごい。令和版は青春群像劇で、逆にリアルで。若い役者さんたちの演技も自然でとても良い。続けて見るとハマると思いますね。
林:令和版のリカとカンチは誰がやってるんですか。
柴門:リカ役が石橋静河さん。原田美枝子さんのお嬢さんね。カンチは伊藤健太郎君。令和版を見てて、あらためて恋愛しかしてない話だなと思った。仕事してる場面がほとんどないんですよね。こういう真剣に恋愛して傷ついたり不安になったりする気持ちって、もう自分にはないなと思いましたよ。
林:最初のは何年前だっけ。
柴門:あれを「ビッグコミックスピリッツ」に描いたのが30年ぐらい前かな。あのころは私も31~32歳ぐらいだから、恋愛してる若者たちの気持ちもまだ描けてたんですよね。
林:そして、今「女性セブン」で連載してる『恋する母たち』もすごい人気ですね。あれは月に1回休むから、どうなるかと思ってヤキモキしてますよ。もうじき終わるんですか。
柴門:夏に終わって、そのあと年内はスピンオフみたいなのを短編でやります。もう体力的に無理です、週刊誌連載は。
林:柴門さんが「女性セブン」って、めずらしくないですか。