「3月から5月の間で、患者さんは2割から3割減りました」
【コロナ緊急アンケート】医師1500人に聞いた!今の医療現場の状況は?薬の効果は…
と危機感を募らせるのは、埼玉県川越市の住宅街でクリニックを開業する、ゆきさだクリニックの行定英明院長(50代)。専門は循環器で、診ている患者には高血圧などがある高齢者も多い。だが、新型コロナウイルスへの感染を恐れて、受診控えが起こり、家族が薬を取りに来るケースがほとんどだ。
「患者さんの体調が心配ですが、『高齢なのでクリニックに連れていくのは……』とご家族に言われてしまうと、何も言えません」
京都市内で内科を開業するA医師(60代)も、「収入が25%減。うちはまだいいほうで、90%減の耳鼻咽喉(いんこう)科や小児科があると聞いている」と打ち明ける。
「医院の維持は無理。診療報酬の前払いも始まり、半分ぐらいの医療機関が申請しているようです。当院も預貯金を全部切り崩して乗り切るしかないです」
茨城県坂東市でクリニックを営むB医師(50代)のところも、患者が3~4割減った。風邪の患者だけでなく、定期的な通院が必要な慢性疾患の患者も来なくなったという。
「不要不急の患者さんが来なくなって、重症の方を救えるようになった点では喜ばしい。一方で、経営を見直さなければならない時期が来たとも考えている」
今後はパートを減らしたり、スタッフの給料を下げたりと、経営の縮小もあり得るという。
「国の支援は陽性者を診察した医療機関に対してであり、間接的に患者減などの影響を受けた医療機関は無視されている。中小の病院は淘汰(とうた)されていくのではないでしょうか」(B医師)
本誌では4月に続き、すべての都道府県で緊急事態宣言が解除された(5月25日)後の6月上旬、全国の医師に緊急アンケート第2弾を実施。医師専用のコミュニティーサイトを運営するメドピア社の協力を得て、3日間で約1500人から回答を得た。
前回と同様、回答した医師のほとんどは感染症の専門家ではなく、さまざまな回答が寄せられた。その一つが、“地域医療の様変わり”だ。患者の受診控えが進んだ医療機関が目立ち、そのなかには経営に苦しむところもあった。