長期休校で実感したオンライン学習の大切さ。ただ、学校が徐々に再開したことで、対面授業に戻り、オンライン学習の動きがストップしてしまう恐れがある。それではいけない。オンライン学習の現状を取材したAERA 2020年6月29日号の記事を紹介する。
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安倍晋三首相の一斉休校要請をきっかけに、長いところでは3カ月におよぶ休校が続いた。6月から、段階的に登校が始まったが、心配されるのが「学習の遅れと、学習格差の広がり」だ。格差は、感染状況による地域差だけでなく、オンライン学習の有無によっても広がった。
私立や国立校などが、休校期間中もオンラインで授業を進められたのに対し、多くの一般的な公立校では、当初プリントやドリルを子どもに渡すだけで十分なフォローができず、保護者からは「家庭に丸投げ」などと不満の声が上がった。ICT教育に詳しい、東北大学大学院の堀田龍也教授は言う。
「文部科学省の4月の調査で、臨時休校中の学習指導について、同時双方向型のオンライン指導ができた自治体は5%でしたが、5月以降は2割くらいまで増えたのではと予想しています」
堀田教授は、オンライン学習のために必要なものは三つだという。(1)クラウドの個人アカウント、(2)Wi-Fiなどの通信環境、(3)PCやタブレット、スマホなどの端末だ。
さらにオンライン学習には2段階ある。第1段階は、クラウドなどで子どもと教員が双方向で「つながる」ことだ。プリントやドリルの自習でも、教員がポイントを伝えたり、子どもの意欲を引き出す声かけができる。第2段階は、そのつながりの基盤のうえに、ウェブ会議システムZoomなどを使った双方向の授業をしたり、YouTubeで授業動画を配信したり、手法はいろいろとある。
文科省は、小中学生に1人1台PCなどを配備する「GIGAスクール構想」を進めていた。2023年度までに完備する計画だったが、新型コロナを受け補正予算を組み、今年度中に前倒しした。5月11日、自治体向けの説明動画で文科省の担当課長はICT活用をこう訴えた。