そんな状況を早く改善したかったこともあり、子どもが生後5か月のときに自動車教習所に入校手続きをした。

 まず驚いたのは、教習料金の高さ。すでにアラサーだった私は、学割もなく、通常料金の約30万円を支払うことになった。学生なら20万円でいいのか……主婦にとって10万円の差は大きい。

 次に必要となったのは、子どもの一時保育料だ。教習時間中に子どもを預けるため、私は市から紹介された子育て支援サービスを利用した。1時間500円だったが、教習所へ行けばほぼ1日預けることなるので、毎回3000円以上の出費となった。託児所付きの自動車学校もあるにはあったが、私の自宅からは遠く、利用するのは厳しかった。

「こうなったら、短期集中で取るしかない!」

 そう意気込んだ私は、空き時間がないほど学科と実技を詰め込んだ。

 最初のうちは夫も協力的で、預かり保育の送迎もしてくれていたのだが、徐々に負担に感じ始めたのか、「俺は仕事でちょっと無理だわ」などと言い出すようになった。ムカつく~! とはいえ、途中で辞めるわけにはいかないので、私だけで頑張るしかなかった。

 預かり保育に寄ってから教習所に向かうのはやはり大変で、何度も心が折れそうになった。しかもそういう時に限って、厳しい教官に当たってしまう。

「このままじゃ事故って死ぬよ!」

 などと叱責され、落ち込んで帰ることもあった。そうした日々が続くと、「失敗したら怒られる……」という恐怖心から運転にも影響が出る。ある日、クランクとS字カーブで大失敗して、路肩に思いっきり乗り上げてしまった。追加指導で4000円の加算。泣きっ面に蜂とはまさにこのことだ。

 いかん、いかん。心を乱すとろくなことがない。そう悟った私は心を「無」して、毎日の実技をこなしていった。そうして何とかカリキュラムを消化していたのだが、今度は「子育てあるある」の諸問題に直面した。

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トータルでかかった費用は40万円