さて、そんな俺の服も結婚後は女房が選ぶようなった。つまり“天龍ファッション”は女房のスタイリングだったわけだ。女房は陰気臭いのが嫌いで「天龍源一郎は目立つ格好をしていなければならない」という信念があるようでね。俺も選んだ服がヘンだって言われると傷つくけど、女房が選んだものをヘンだって言われたら「俺の女房が選んだ服に文句あるのか!」と強気でいられるし、ほめられたら自分で選んだよりも嬉しいもんだ。それに、長州力のキティちゃんコラボTシャツよりはカッコいいだろう! な!!(笑)

 ほかにも現役時代はダブルのスーツが流行っていたから、よく仕立てたもんだよ。今でもそのスーツはクローゼットに保管してあるんだけど、代表(※娘の紋奈さん)に言わせると「全部に“天龍”と名前の刺繍がしてあるから、処分しようにもできない!」らしい。レスラーは体がデカいからちゃんとあつらえないといけなし、採寸しておくと生地を選ぶだけで作ってくれてラクなんだよね。最初は季節ごとにブレザーを一着くらいだったけど、だんだん作る数も質も上がって、その量や頻度で「俺も出世したな」と実感してね。最近は女房が選んだ服を着ようとすると、代表から「どうしたの! そんな地味な格好をして!」と横ヤリが入るようになったよ。どうも女房が選ぶ服は「目がチカチカする!」らしい(笑)。俺は出された服を着るから、あとは二人で決めてくれ……。

 レスラーの日常の服装だが、全日本プロレスは移動の時も馬場さん含めてみんなジャージだったけど、新日本プロレスは会場でのセコンド業務のときはライオンマークのTシャツやジャージで揃えて、移動になるときちんと着替えていたね。猪木さんも会場入りするときはビシっとした格好でね。これも社風の違いだね。もともと、力道山関の日本プロレス時代は服装にも厳しくて、日プロ出身のレスラーはTPOをわきまえた服装をしているよ。代表もよく言うんだけど、特に(ザ・グレート・)カブキさんがパーティーに出席するときにビシっと正装する姿がカッコいんだ。馬場さん、猪木さん、グレート小鹿さんといった日プロ出身はみんなオシャレだよ。

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入場のときに着る思い出のガウン秘話