――起業を決意して、23歳で帰国。その後は順風満帆の実業家人生が続いたのでしょうか?

 帰国後、高田馬場に語学教育と留学サポートを事業内容とする会社を立ち上げました。でも、すぐに倒産してしまいました(笑)。500万円くらいの借金を抱え、返済のために派遣社員として通訳や翻訳の仕事をしました。まさに寝る間を惜しんで働いていた時期です。UCLAでは脳神経科学を専攻していましたので、国家機関の研究所で翻訳や通訳の仕事をすることができました。幸いなことに2年間で借金を返済、それなりの事業資金を貯めることもできました。

――倒産、借金を経験して、「起業は諦めよう」という気持ちにはなりませんでしたか?

 その逆でした。研究所で通訳や翻訳の仕事をしているときに気がついたんですが、日本にはとても優秀な研究者がたくさんいるにも関わらず、彼らは世界で戦えていなかったんです。もちろん英語の論文を読むなどの最低限のことはできましたが、国際学会で研究成果を発表してネットワークを広げて共同研究にもっていくとか、資金を募るとか、そうしたグローバルに活動している研究者がほとんどいなかったんです。実力的には十分やれるのに、英語が壁となって研究所に閉じこもっている研究者がたくさんいました。そうした経験から、より英語学習や留学サポートへの熱意と英語需要という意味で、チャンスはあるんだと自分に言い聞かせることができたんです。

――現在、代表取締役をつとめる「Sapiens Sapiens」はどんな会社ですか?

 TOEICなどの資格試験対策、留学支援、受け入れ先の確保、留学後のサポートまで。留学のために必要なことのすべてをサポートしています。

――最近ではオンラインスクールにも力を入れていますね。

 私のやりたいことをシンプルに言葉にすると「人の人生を変えたい。その手助けをしたい」ということに集約されます。やはり対面授業だけでは影響力が小さすぎるんです。対面での教育とサポートは15年間、東京でやってきましたから。これからはより活動範囲を広げたいと考えています。

――現在はどのくらいのペースで教壇に立たれているんですか?
 
 今も昔もあまり変わっていません。1レッスン30分の授業を毎日やっています。日本全国に2~300人くらいの生徒がいて、私個人としては2~30人くらいの生徒を受け持っています。

次のページ