―木村さんとどんなお話をされたんですか?

 実は緊張して頭真っ白になっていたので、あまり覚えていないんです(笑)。現場でスタンバイしているときに木村さんが入ってきたので挨拶をしたら、僕の方を向いて「…っす」って軽く会釈してくれて。その仕草がめちゃくちゃかっこよかったんですよ! 「うわー」って思って。ほんの数秒ほどの挨拶だったんですけど「これが本物のキムタクか」って。モノマネを始めたころから「木村さんに会いたい」という夢があったんですが、周りからは「絶対に無理」と言われていた。追いかけて続けていれば夢はかなうんだと思った瞬間でした。

―日本を代表する二枚目俳優の“顔面のモノマネ”は相当難しいと思うんですが「似せる」コツは何ですか?

 実は顔立ちや声じゃなくて雰囲気や振る舞いなんです。「自分はキムタクなんだ」と思い込むことが大事。ご本人にお会いしたことによって本物のオーラにふれることができたので、僕自身モノマネのレベルが確実に上がりました。またキムタクファンの方の力も大きい。僕がInstagramにモノマネ写真をアップすると、「拓哉ならこういうポーズするよ」とか「拓哉が口角あげるならこっち」とか「髪の分け目が逆だよ」などアドバイスをしていただいています。

―小手先の技術ではなく、木村さん独特の雰囲気を自身にまとうということなんですね。体得するためにはどんなことを?

 木村さんの振る舞いを再現しながら、そのときの気持ちを想像します。僕はドラマやCMが発信されたらすぐにまねするんです。今だと木村さんはメンズスキンケアのCMに出演されているので、すぐ商品を買って CM中の木村さんと同じ動きをして「どんな気持ちでやっているんだろう」と想像しています。ライブのDVDを見て、木村さんが気になるポーズをしていたら一時停止して僕も再現してみる。「わー、これ木村さんかっこええと思ってやったんやろな」って思いながら。ただまねをするだけでなくて「なぜこの動きをすると決めたのか」というところまで考えて、演者・アーティストとしての木村さんの内面を想像しています。そうすると自然と自分が木村さんのようになっていくんです。

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