東京ドームの総額約100億円規模の改修が発表された。新型コロナウイルス禍という世界的問題解決のための画期的取り組みである。しかし、ファンからはあまり注目を浴びていない。なぜなら期待していた新球場建設が、当面は消滅したからだ。
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「世界トップレベルの清潔・安全・快適なスタジアムを目指す」
巨人、読売新聞、東京ドームの3社代表が集結して大々的に発表されたプロジェクト。
世間が混乱状態にある中、いかにして興行を成り立たせるか。お客さんの安全を担保できるように現状の東京ドームに手を加えることにした。
「ウイルス対策を最優先した。音楽や演劇、アミューズメント施設などと同様、プロスポーツ界も生き残りに必死。それは天下の巨人でも変わらない。1日でも早くお客さんに安心して来場してもらい、通常営業に近い形に戻さないといけない。夢の新球場建設ではなく、現実路線を選択せざるを得なかった」(スポーツ関連にも精通する経済誌ライター)
コンコースに大型送風機を30台設置するなどして、場内の換気能力を飛躍的に高める。階段等の消毒作業を徹底するとともに、女子トイレや洗面台も増設し密状態の緩和を図る。「東京ドーム・新型コロナアラート」を導入し、感染者の追跡できるシステム構築など、来場者の安全を担保するための施策が具体的に発表された。
同時にファンサービス向上のための改修もいくつか発表された。
23年開幕に向けてはバックスクリーンのメインビジョンを現行面積の約3.6倍に拡大し国内最大級のものにリニューアル。そして利便性とウイルス対策のため、22年には球場内完全キャッシュレス化を目指す。他には内野席にスイートルーム新設などもある。
「ファンからすると目新しさは見つからない改修」と前出の経済誌ライターは続ける。
「ウイルス対策に万全を期するのは伝わってくる。しかしエンタメ空間としてはどれも二番煎じ。キャッシュレス化は慣れてくれば便利かもしれないが、混乱も予想される。現状で採用する楽天主催試合では高齢者などを中心に、使いこなせない人が続出している。また仮想現実体験ができるVRの時代に、ビジョンの大きさと美しさだけがウリでは物足りない」