「新球場待望論から時間をかけ過ぎた。現・東京ドームのある文京区水道橋は最高の立地。山手線内の中心地で読売本社にも近い。昭和時代から『巨人=後楽園球場(東京ドーム)』と定着していた。球界の盟主として人気を誇り、興行としても成り立っていた。巨人としては余程のことがない限り、という思いもあったのだろう。現状で二の足を踏んでいる間に時間だけが経ち、候補地は他の用途に使用されてしまった」
長年、巨人取材をおこなっている在京テレビ局記者は語る。
「野球中継がCSやネット配信に移行しつつある。その中でNHKは定期的に、巨人戦地上波中継をおこなってきた。良い関係性の中でNHK、日本テレビ、読売新聞がチームを組んでの渋谷移転なら、インパクトは相当だった。野球界全体の底上げが期待できるとして、我々もかなり期待した。今回の改修発表で当面は現存の東京ドームを使い続けるとハラを決めたのではないか。ただし、これもどうなるかはわからない。日本が世界に誇れる野球場を建設するのは、巨人であるべきだと思うのだが」
7月の東京都知事選前、築地周辺市民から「市場跡地に新球場建設を望む」という声が聞かれた。いまだに新球場が望まれているのは間違いない。
現実的にウイルス対策が必要なのは理解できる。しかし明るい話題が少ない中、ファンが望んでいるのは、夢のある話だ。安全が保証されていても、変化のない球場ではやはり味気ない。勝つだけでなく、それ以外の付加価値を誰もが求め始めている。