六つ目は「治安のいい街」。自宅やその周辺にいる時間が長いコロナ時代だけに、安心して暮らせる環境は極めて重要だ。子育ての面でも、「過疎化や少子化で学校の統廃合が進み、通学時間が長くなっているだけに、街全体で子どもたちを見守るような仕組みができていないと心配です」(堀口さん)。
七つ目は「医療体制が充実した街」だ。新型コロナの感染拡大はどこで起きてもおかしくない。医療崩壊が懸念される時代、「いざという時に近隣市町村を含めて通院できる病院があるかどうかは絶対にはずせないチェックポイントです」(同)。
最後、八つ目は「災害対応や行政サービスが期待できる街」だ。「何十年に一度という災害が毎年のように起こる時代ですから、過去に地震や水害を経験するなど、対策を学んでいる市町村が安心ではないでしょうか」(同)。一方、近年は局地的な豪雨が増え、災害がどこで起きるかを予測するのは極めて難しい。もしもの場合にしっかりと対応できる体制作りや財政力を備えた自治体を選ぶことが一つの備えになりそうだ。
一方、通常の移住では重要とされる移住先での就労先や自治体の移住支援策などは、項目に入れなかった。テレワークを伴うことが多いコロナ時代の移住では、これまでとは違う指標を重視する必要があるのだ。
これら8項目について、アエラは公表されている統計データから東京都内と政令指定都市を除く1659市町村について数値を算出し、エリアごとにランキングを作成した。
それでは、地域ごとのランキングを見ていこう。
まずは北海道・東北だ。「買い物」や「医療」が充実し、財政的にも豊かなことが多い県庁所在地が上位に挙がるのは、他のエリアでもみられる傾向だ。そんな中で1位に入ったのが、宮城県岩沼市だ。仙台市の玄関口的な役割で、市東部には仙台空港があり、JR東北線と常磐線が岩沼駅で交わって仙台市につながっている。
東日本大震災の津波で大きな被害を被ったものの、「保育所が再開されるなど、復興著しく、その象徴が『千年希望の丘』です」(さわやか市政推進課)。移住者の受け入れにも力を入れ、人口も増えている。八つのテーマのうち、「災害・行政」は9点。災害対策が整備されているのは心強い。