実はこの日、中田は宿舎で朝食を取ったあとに、うっかり二度寝してしまい、目覚めたのは球場に出発する集合時間ギリギリ。慌てて部屋を飛び出したため、愛用のバットを忘れてきてしまった。そこで、春まで使っていたバットを代わりに使ったところ、思わぬ特大アーチが飛び出したというしだい。「あのバットのお蔭です」。朝寝坊も時には“早起きは三文の徳”以上のご利益がある?

 このほか、02年に日章学園の瀬間仲ノルベルトが興誠戦で右翼ポール際中段に放った高い弾道の同点2ラン、05年に大阪桐蔭・平田良介が1試合3本塁打を記録した東北戦の4打席目に放ったバックスクリーン弾(3本目)、07年に智弁和歌山・坂口真規が仙台育英戦で佐藤由規から放った左中間中段への同点2ラン、18年に大阪桐蔭・根尾昂が決勝の金足農戦で吉田輝星から放ったバックスクリーン弾などが、いずれも130~140メートル級の“伝説のアーチ”としてファンの脳裏に刻まれている。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2019」(野球文明叢書)。

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