「ホームランテラス同様、スタンドとグラウンドの距離も問題」と中京地区テレビ局スポーツ担当者が続ける。

「広島、甲子園、神宮などはファウルゾーンが狭い。現在、2軍で使用するナゴヤ球場も改修して両翼と中堅はドームに合わせたが、ファウルゾーンなどは以前と変わらない。選手との距離も近く試合を見やすい。2軍戦とはいえファンは満足して帰路につける。ドームは基本円形構造でスタンドからの距離が遠い。傾斜も緩やかなため、離れた場所のプレーが見えない。上階席からの眺望は、はるか遠くを見下ろすような感じで野球観戦という感じではない」

 ドームはどの席からでも選手が遠い。それならばテレビやネット配信で十分だ、という思いになっても不思議ではない。

「ナゴヤ球場は良かった。繁華街や名駅(名古屋駅)からも近い。試合も見やすい」

 年配ファンを中心にそういった声が聞かれる。

 ナゴヤ球場は、戦後間もない48年に開場し96年まで中日が本拠地として使用した。ファンに愛され多くの栄光が刻まれている、まさに名古屋のアイコンだった。

 球場火災という考えられない事故もインパクトを強めた。51年8月19日の巨人戦では死者4人を出す全焼火災が起きた。90年9月11日の大洋戦では試合開始直前に出火し23分遅れで試合は始まった。

 晩年は老朽化に対する不満も多かったが、時間が経過し改めて『良さ』を認識されている。古くて狭かったが、ドームはナゴヤ球場に及ばないのだ。

「最近は球団も現実に即したチケット料金への見直しなど行い、以前ほどの高額感はなくなった。それでも安易にドームへ見に行こうという感覚には遠い。ナゴヤ球場時代と比較してしまう人も多いのだろう」(中京地区テレビ局スポーツ担当者)

 19年3月7日、DeNAとのオープン戦が行われた。23年ぶりの1軍試合開催で、定員約3000人収容となったとスタンドは超満員に膨れ上がった。郷愁と理想。ナゴヤ球場に対して懐かしさだけでなく、野球場本来の楽しさを感じていた人が多い。

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ドームを魅力的にするには…