「コロナで大変な状況にある人たちを思うと、心苦しさもあります。それでも、ささやかな畑で土に触れて、植物の生命力にいやされる思いでした」
今年は、植えたゴマで油を搾る予定だ。
上皇さまと上皇后美智子さまの恋のキューピッドを務めた織田和雄さん(84)は、25年前からひとり暮らしを続ける。
「コロナ禍でも生活は変わりません。毎日3食を自分で料理して、テニスクラブが再開してからは週2日、2セットほどテニスの試合をする生活です。すこぶる元気ですよ」
コロナ禍でも続けた学びが仕事につながったのは山崖佳昭さん(80)だ。大学時代は工学部で学んだが、文豪の名著を原書で読みたいと、学生のころからロシア語の勉強をしてきた。定年退職後、学び直そうと自治体のロシア語講座に申し込んだ。講座が終わってからも同じシニアの受講仲間と相談し、同好会のような形で同じ先生に師事した。コロナ感染症が拡大しても予防措置をしてレッスンを受けた。
気楽な趣味のつもりだった。だが、7月に突然、知り合いを通じて、企業からビジネス書類の翻訳作業を頼まれた。A4書類25枚を2週間以内に仕上げなければならず、ハードな内容だった。
「ロシア語はニッチな分野なので、白羽の矢が立ったのでしょう。重圧はありましたが、信頼する先生の下、学び続けてよかった」
実際、シニアの語学熱は衰えず、駅前留学NOVAでも60歳以上のオンライン受講数がコロナ以降、1.6倍に増えた。(本誌・永井貴子)
※週刊朝日 2020年9月25日号より抜粋