屈折矯正手術を行なっている、みなとみらいアイクリニック。荒井宏幸医師によれば、アンチエンジングのブームとともに、老眼の治療を希望する人は増えているという(撮影/篠塚ようこ)
屈折矯正手術を行なっている、みなとみらいアイクリニック。荒井宏幸医師によれば、アンチエンジングのブームとともに、老眼の治療を希望する人は増えているという(撮影/篠塚ようこ)
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 眼鏡やコンタクトレンズでしか矯正できなかった老眼が、手術で治せる時代がやってきた。最前線の技術に迫る。

 目のレンズの役割を果たす水晶体の硬化に伴って起こるという老眼。みなとみらいアイクリニック(横浜市)の荒井宏幸医師は、誰しも必ず老眼になると言う。

「お年寄りで老眼鏡を使わずに新聞が読めるという方もいますが、単に近視で焦点が手前にきているだけで、眼鏡などで矯正すれば手元は見えにくくなる。人類にとって老眼は100%避けられない現象なんです」

 水晶体は透明なゼリー状の組織だが、硬化が進むと濁ってくる。これが白内障だ。いわば老眼と白内障は、老化が目に及ぼす双子の症状ともいえる。

「老眼治療の考え方には、『医学(生物学)的老眼』と『社会(臨床)的老眼』の二つがあります。残念ながら水晶体を若い頃の状態に戻すことはできませんが、手術によって、眼鏡を掛けなくても不自由なく生活を送れるようになる。つまり老眼は生物学的には無理でも、社会的なレベルでは治せる時代になったと言えます」(坪田教授)

 その技術のひとつとして、アキュフォーカスという方法がある。

 カメラは絞りを絞ることで、遠くにも手前にも同時にピントが合った状態にできる。この原理を応用した技術で、日本には09年に導入された。角膜に虹彩よりも一回り小さいドーナツ型のリングを埋め込み、目に入る光を細く絞ることで、遠近ともにピントが合った状態にする。施術は片目だけで、通常の生活ならば、網膜が感度を上げているので暗さは気にならない。ただし、暗い場所では小さな字が見えにくくなることもある。薄暗いレストランではメニューの小さな字が読みにくいということもあるようだ。

AERA 2013年1月14日号