「マッチングアプリもパパ活化してきているようで、純粋な出会いが難しくなってきました。そうなると、高級料理やお手当などを餌にしないと出会えなくなる。これでは、意味がないんです。新しいステージに踏み出す必要があるなと感じ始めました」
パパ活目的の女性たちに“荒らされた”マッチングアプリから、どのようなステージに移るのか。石沢さんが選んだのは、なんと「パパ活アプリ」だったというのだから驚きだ。パパ活アプリはマッチングに比べて運営に払う費用も高額になる。あえてパパ活アプリに活路を見いだした理由は何だったのか。
「パパ活アプリは月額1万円ほどします。大学生には超痛い出費です。でも、“どうしても出会いたい!”という日の成功率はかなり高いことが分かったんです。なぜなら、パパ活アプリはまだ圧倒的におじさんが多い。そこで僕はあえて“お手当”の提示はせずに、食事代とホテル代の負担だけで勝負する。あとは、コミュニケーション能力でどうにでもなりますから」
どの市場ならば、「21歳・慶大生」という自分のスペックが最も高く売れるかを計算しながら行動しているのは、いかにも高学歴の学生という印象を受ける。だが、その日限りで見知らぬ女性とやりとりをしながら、刹那的な関係性を続けるのは、かえって疲れないのだろうかという疑問もわく。また、アプリで出会った女性から、もし「彼女になりたい」などと求められたらどうするのだろうか。
「もともと関係が続く前提でやり取りをしていないので、彼女にしてくれとか面倒なことを言う女性はいないですよ。こちらもその日だけの関係を望んでいるので、発展させないような雰囲気を出してますし」
最後に、石沢さんにこの恋愛スタイルをいつまで続けるのか聞いた。
「本命の彼女を作りたくなったらですね。あとは社会人になったらいろいろと余裕が出てくるのと思うので、その時に考えようと思います」
彼女ができたら、アプリでの出会いは一切やめる考えのようだ。そこからは、本命の彼女に対する高い理想と責任感のようなものも感じる。一方で、アプリで出会った女性たちの扱い方は、あまりにも軽い。
SNSの発達によって“ちょっと遊びたい”くらいの気持ちなら、特定の恋人を作らなくても、相手をしてくれる異性はすぐに見つかる時代になった。これが高学歴大学生の新しい恋愛スタイルなのだろうか。だが、そこには、面倒で、複雑で、お金も時間もかかる異性との関係の先にある「情愛」はない。それこそが、恋愛だけでしか味わえない醍醐味だったような気もするが……今はそういう時代でもないのかもしれない。(取材・文=吉田みく)