早乙女にふられた玲子は、自ら髪をバサバサ切る。「(髪を切れば)ふっきれると聞いたのに、よけいに痛い! 痛い!」と泣きじゃくる。
いつも玲子にやり込められている猿渡が、彼女の頬を両手で包む。「痛いの痛いの飛んでけー!」。何度も繰り返すおまじない。「飛んでけー!」
思えば今年という年は、世界がほころびだらけなのだ。繕おうとしても、そのほころびはなかなか塞がりようもない。
そんな日々に人は疲れてしまうけど、だったらね、バカみたいに推しに貢いでアドレナリンたぎらせてもいい。30万円もする癒やしロボットをなでてもいい。「痛いの痛いの飛んでけ~!」という、あのとびきりの笑顔を思い出してもいい。
カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など
※週刊朝日 2020年10月16日号
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