「大山悠輔のブレークが大きい。最近は良い感じでスイングできていたが、ここまで結果を残すとは誰も想像していなかった。大山が1人前になるまでは打線の柱になれる福留は必要だ、と考えられていた。しかし今年の成績を見ると話は変わってくる。また打撃だけでなく守備も器用で、本職の三塁手のみでなく外野手もできるので、福留の後の右翼手を任せるにはうってつけ。福留も内野手から外野手に転向して名手になった。生え抜きの和製大砲に周囲は大注目している」(阪神担当記者)
阪神は昨年のCS出場をはじめ、明るい未来も見え始めた。今年は巨人の独走を許してしまったが、可能性を感じさせることもあった。生え抜き選手が少しずつ台頭しており、ベテラン頼みからの脱却が必要な時期にも差し掛かっていた。大山は本塁打王争いを繰り広げるなど、世代交代の中心にいる。大山を外野に専念させれば、ドラフトなどで内野強化できる。また中堅・近本光司、右翼・大山の外野陣は阪神のウリにでき、熱狂的な右翼席の虎党も大喜びだ。
「9月に発覚した新型コロナウイルス感染予防のための内規違反も関係しているのではないか。親会社の阪急阪神ホールディングスとしては、鉄道会社として安全面を最優先している。国難の状況下、中心選手の軽率な行動は看過できなかった。コンプライアンス重視を世間的にアピールするためにも、福留残留は難しい判断だったと考えられる。春先にコロナ感染者が出た際にはチームを代表して謝罪、世間を巻き込んで絶賛された。それが半年後には同じコロナ問題で総スカンを食らい退団。まさに天国から地獄、いろいろなことが積み重なったタイミングだった」(阪神担当記者)
開幕前、藤浪晋太郎をはじめ3選手が新型コロナウイルスに感染しチームは活動休止となった。福留はオンラインの取材においてチームメートの軽率な行為を謝罪した。自ら矢面に立つ形だったため、福留の男気溢れる行動は絶賛された。しかし今度はシーズン中、感染予防のための内規を破る人数で会食したことが発覚、球団から制裁金を課されていた。感染リスクが高い行為を自ら行った問答無用の行為。球界内外から批判の声が上がり懲罰は必至と見られていたが、戦力外通告にまで結びついてしまったのか……。