阪神から戦力外通告を受けた福留孝介 (c)朝日新聞社
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 阪神・福留孝介の戦力外報道。

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 公式発表前のフライング気味のニュースだったが、周囲に驚きはなかった。

 世代交代、イメージ回復のため、球団挙げての一大プロジェクトの1つ。日米で活躍したレジェンド、そして阪神の今後はどうなるのか……。

「来季残留は最初からなかった」

 在阪テレビ局スポーツ担当者は今回の戦力外報道を解説する。

「戦力外の実質的な公式発表。本来なら福留ほどの選手なので、本人の口から語るべきこと。しかし本人は阪神への愛着もあって答えを出せずにいた。先手を打つような形で、球団に近い人物がマスコミ各社にリークしたとも考えられる。そうでなければ、広報部からクレームが入るはず。同日に各社一斉に報じたのはそういった事情もあったのはないか。今回の報道は各社ともしがらみなく伝えたはずで、特ダネではなかった」

 昨年の鳥谷敬(現ロッテ)や藤川球児はシーズン中でも公式の場で退団、引退を発表した。福留もここ数年は調子の波が激しく往年の輝きこそないが、大功労者であることには変わりない。

 またスター選手の去就問題などはセンシティブな部分。信憑性がなければ、球団広報部が異議を申し立てるのはどのチームも同じ。マスコミ情報に神経質で細かいことで知られる阪神なら尚更だ。

「体力や視力の衰えはある。しかし打撃技術はまだトップレベル。柔らかいリスト使いとバット使いの巧みさは変わらない。また堅実性のある外野守備も魅力。走力は落ちても経験によるポジショニングは秀逸。送球の正確性などは若手の見本にもなる。年間フル出場は難しくても、他選手との併用なら戦力として行けたはず。ベンチにいるだけで(相手チームにとっては)嫌な存在だけにもったいないが、それも編成の判断でしょう」(在京パ・リーグ球団スコアラー)

 プロ22年目の大ベテランは阪神8年目の今年は打撃不振で43試合出場、打率.154、1本塁打、12打点と低迷している。しかし昨年は104試合出場、打率.256を記録するなど、使い方によっては戦力になれる選手だ。またグラウンド内外で精神的支柱として欠かせない存在でかつては主将も務めた。『将来の監督』とも言われ、最悪でも『打撃コーチ兼任』での残留が基本線と思われていた。

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内規違反も戦力外に影響?