なお、介護休業と介護休暇は高齢者に限らず、介護が必要な家族がいる場合に広く適用されます。
介護休業と介護休暇をまとめると以下のようになります。
〇介護休業
要介護状態(負傷、疾病または身体上・精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するため、介護休業の開始日、終了日を明らかにして事業主に申し出ることで休業することが可能。
・対象家族の範囲:配偶者、子、父母、祖父母、配偶者の父母など
・休業できる期間:対象家族1人につき通算93日まで(93日を3回まで分割取得可能)
〇介護休暇
要介護状態にある対象家族の介護や世話を行う労働者が、年次有給休暇とは別に取得することができる休暇。
・休暇日数:1年に5日(対象家族が2人以上の場合は10日)まで
・半日単位で取得するも可能(2021年1月からは時間単位での取得も可能)
介護休業の93日といった日数は法律で定められた最低日数で、企業によってはこれ以上の休業制度を定めている場合があります。どの場合でも介護が必要になった場合は、まず勤務先に相談することがとても大切です。
■申請すると給与の3分の2が支給される「介護休業給付金」
以前この連載で「育児休業」について説明したことがありますが、介護休業も育児休業と同じく休業中の給与について、「ノーワーク・ノーペイ」の原則に基づき事業主は支払いの義務がありません。会社が独自に休業時の給与規定を設けていない限り収入がなくなります。
このような状況で利用したい社会保障が「介護休業給付金制度」です。雇用保険の被保険者が家族を介護するために休業を取得した際に、休業開始前に受けていた平均賃金日額の67%が「介護休業給付金」として休業日数分(最大93日分)給付されます。それまでもらっていた給与の、およそ3分の2が雇用保険から支払われると思っておいてください。ただ介護休業給付金は休業期間の終了後に申請→受給となります。