受給資格は、介護休業を開始した日の前の2年間に被保険者期間が12カ月以上あることです。なお、支給期間中は「まったく働いてはいけない」というわけではありませんが、就労期間が10日以上になると支給を受けることができなくなるので注意してください。また休業中に有給休暇を使うなど会社から給与を受けている場合、支給額が減額または支給されないこともあります。
介護休業給付金の申請先はハローワークですが、基本的には会社が申請手続きを行うので、まずは勤務先の担当部署に依頼しましょう。
なお、介護休暇も同じように事業主に休暇取得時の給与支払い義務はありません。こちらは特に給付金などもないので取得時は注意して下さい。
近年、母親の取得が当たり前になりつつある育児休業とは異なり、介護休業や介護休業給付金の取得はまだそれほど浸透してきているわけではありません。まず自分の状況をしっかり把握し、会社と十分に話し合うことがとても重要です。
■自治体により介護対象者がいる家庭に給付金が支払われることも
家庭に介護の対象者がいる場合、自治体によっては本人、またはその家族に手当が支給されることがあります。
「家族介護慰労金」(東京都世田谷区、大阪市など/年額10万円)、「おとしより介護応援手当」(東京都中央区/月額2万円)、「在宅ねたきり老人等介護手当金」(金沢市/月額5000円)など名称や支給額は異なりますが、自治体から要介護者がいる家族への支えとして支給しているものです。
要介護度や介護サービスの利用の有無などで自治体ごとに支給要件が異なっていますから、制度自体の有無も含めて一度住んでいる自治体の福祉担当部署に確認することをおすすめします。
介護に関する社会保障は幅広く、種類も多くあります。次回も引き続き生活を安定させるための社会保障の基礎知識について解説したいと思います。
(構成・橋本明)
※本連載シリーズは、手続き内容をわかりやすくお伝えするため、ポイントを絞り編集しています。一部説明を簡略化している点についてはご了承ください。また、2020年10月27日時点での内容となっています。