■多様性こそ一番の強み

――今年、ICUに加え、早稲田、慶應義塾、明治、青山学院、明治学院、立教の各大学でもVUJの学生支部が立ち上がった。他にも準備中の大学が複数ある。現在メンバーは学生と社会人を合わせて約80人。SNSでの情報発信や啓蒙(けいもう)イベントの開催、政治家への働きかけなどを行っている。テーマも、緊急避妊薬の処方問題や、海外では法的に必須と定められている「性的同意」の普及、LGBTQへの差別撤廃など幅広い。

山本さん:学生が積極的に参加してくれるのは心強いです。SNSの影響は大きく、瞬時にシェアされる世界の動きと、自分たちが抱えてきたモヤモヤがつながるようになったのだと思います。

 VUJのメンバーは一定の基準を設けて採用しています。重視しているのは、企画・運営に主体的に関われるか。それと日本語か英語のどちらかでコミュニケーションができること。国籍もドイツ、トルコ、フランス、日本などさまざまなので、会議もSNSでの情報発信も日英の両言語で行っています。

 年齢は15歳から70代までと幅広く、男性、女性、性自認がどちらにも当てはまらないノンバイナリーの人もいます。セクシュアリティーを含め、多様性があることがVUJの一番の強み。それによって「女性だから」「若いから」と耳を塞いできた人たちにも、声を届けられるようになります。

 これまでフェミニズムは「女性からの異議申し立て」だとみなされ「男対女」と対立のように捉えられてきました。でもいま、世界中でLGBTQやセックスワーカーの人権を扱うグループとも一緒に活動しようという機運が高まっています。差別の構造はあらゆる分野で共通だという認識が急速に広まっているからです。ジェンダーやセクシュアリティーの壁を越えて連携をすることで、私たちはもっと強くなれると思います。

(構成/編集部・石臥薫子)

AERA 2020年11月2日号

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