山本和奈(やまもと・かずな)/1997年生まれ。大学在学中にチリに留学。教育支援の国際NGOや竹製歯ブラシの販売ブランドを設立。チリを拠点に企業や団体を運営(撮影/MayuOno)
山本和奈(やまもと・かずな)/1997年生まれ。大学在学中にチリに留学。教育支援の国際NGOや竹製歯ブラシの販売ブランドを設立。チリを拠点に企業や団体を運営(撮影/MayuOno)
この記事の写真をすべて見る

 大学時代に性差別、女性蔑視に対して声を上げた山本和奈さん。現在は一般社団法人Voice Up Japan(ボイスアップジャパン)の代表、起業家として社会問題と向き合っている。AERA 2020年11月2日号では、山本さんに日本のジェンダーの問題などについて聞いた。

【アンケート結果】家庭や学校で感じるジェンダーのモヤモヤ

*  *  *

――2019年1月4日、国際基督教大学(ICU)4年生だった山本和奈さんは、前年暮れに発売された「週刊SPA!」の特集記事「ヤレる女子大学生ランキング」に、抗議の署名活動を始めた。記事撤回と謝罪を求める声は瞬く間に広がり、山本さんらは週刊SPA!編集部に面会を要請。同編集部は「女性をモノとして扱う視点があったと反省している」と謝罪した。

山本さん:あの日を境に私の人生は180度変わりました。大学卒業後は南米のチリに行くと決めていましたが、私が日本を離れるからといって、これを一度限りの運動で終わらせてしまうのはもったいない。社会を変えられるチャンスだと思い、Voice Up Japan(VUJ)を立ち上げました。

 団体の名前の由来でもあるのですが、日本は「おかしい」と思っても声を上げにくいと実感しています。声を上げたこと自体を責められたり、聞いてもらえなかったりすることがあまりに多く、諦めてしまいがち。問題はジェンダーに限りません。

 例えば私の学生時代のアルバイト先の飲食店では、閉店が夜9時と決まっているのに、ギリギリに入店するお客さんを断ってはいけないし、その人が席を立つまで閉店準備をすることも禁じられていました。問題提起をしても「お客様は神様だから」「ルールだから」で終わり。別のカフェでは見栄えのために店頭に全種類のジュースを並べ、数時間で全て廃棄していました。フードロスだと訴えましたが、「今までそうしてきたから」と取り合ってもらえませんでした。

 海外と比べて日本では若者へのリスペクトも圧倒的に足りません。「若者は考えが甘い」「そんな理想論は社会で通用しない。君も大人になればわかる」などと言われてしまう。そういう社会のあり方を変え、日本でも多くの人が声を上げやすい環境をつくり、ジェンダーやセクシュアリティー関係なく平等な社会を目指す。それがVUJのビジョンです。

次のページ