2位じゃダメなんでしょうか──そんな言葉が頭をかすめる。魅力度ランキングで初の最下位に転落した栃木県だが、かえって注目度は高まった。2位よりも最下位に「強み」がある。AERA 2020年11月9日号では、調査会社に直撃した。
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至るところで再開発が進む東京・虎ノ門。見渡せばいくつもの高層ビルが視界に入り込むが、くだんの調査会社は、お世辞にも広いとは言えない雑居ビルの一室にあった。
「魅力度調査のことを話すためと、県の方を6人くらい連れてここまで来られました。びっくりしましたよ」
そう話すのは、都道府県の魅力度ランキングを実施する民間調査会社「ブランド総合研究所」の田中章雄社長(61)。10月14日に発表した同ランキングで、昨年まで7年連続で最下位だった茨城県に代わって、栃木県を最下位にランク付けした。
これに憤慨したのは、栃木県の福田富一知事(67)だ。ランキングに思わず「えっ!」と声が出たという福田知事は、「納得がいかない。魅力や実力を測るのに適正な指標なのか」と、ランキングの発表からわずか1週間後、冒頭の調査会社の一室を訪れた。その場で主張したのは、調査方法の見直しだった。
「面会は1時間ほど。アンケートの回答者数を増やすことや、地域の魅力度以外にも観光意欲度といったほかの項目も打ち出してほしい、などが知事から提案されました」(田中社長)
北関東で激しいバトル
1位争いではなく、最下位争いでかつてないほど話題をさらった今回の魅力度ランキング。結果的に栃木県、茨城県ともに、テレビやネットで連日騒がれることとなった。
なかでも注目は北関東勢の争いだ。最下位からぐんと42位まで順位を上げた茨城と40位の群馬、そして栃木の3県は、例年、競うように順位が近い。その群馬県知事も調査の結果を受けて「(調査の)名前を変えてほしい」と言うほど、ランキングはご愛嬌では済まされなかった。
そもそも、魅力度とは何か。
「各地域を魅力的と感じるか、全国約3万2千人に5段階評価で回答してもらったものです。北海道や京都府のような上位地域は富良野や舞妓など瞬時にイメージが浮かぶのが特徴です」
と、調査した田中社長は言う。
しかし、だ。
栃木県には全国的に知れ渡る名所や名産がたくさんある。