■高大の連携が重要に

 2017年度、「Web体験授業型入試」を導入した東洋大学はオンライン入試の先駆けだ。入試部部長の加藤建二さんは「これまで起きている問題は、受験生や高校とのコミュニケーションが課題だ」と指摘する。

 9月に「機器やネットワークの不具合の責任を、受験生に負わせようとしている大学がある」との報道が出たが、どの大学も受験生ファーストの気持ちは同じで、大学はそのようには考えていなかったはず。大学は入試要項に、「遅刻は20分まで」と書いているが、実際には悪天候による交通遅延など出遅れた受験生には、時間割変更などで救済している。今回は注意喚起的な意味合いの表現が独り歩きしてしまったという。

「コロナ禍で、受験生・保護者・高校教員は相当ナーバスになっています。表現等の工夫の余地があったかもしれない」(加藤さん)

 大学がオンライン面接を導入したり、公平性、公正性を確保しようとしたりするのは受験生を思ってのこと。一方、高校の教員たちが問題提起するのも同じ思いからだ。見通しの立たないコロナ禍で、丁寧なコミュニケーションのもと、相互の連携が今後ますます重要になる。(編集部・石田かおる/ライター・柿崎明子)

AERA 2020年11月9日号

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