AERA 2020年11月9日号より
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 コロナ禍の2020年度大学入試でオンライン面接を新たに取り入れる大学が出てきた。感染リスクを避けるためだが、高校側からは大学サイドに改善要望も出ているという。AERA 2020年11月9日号では、オンライン化する大学入試について、受験対策指導教員らの不安の声を取材した。

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 10月下旬の放課後、東京都立保谷高校を訪ねると、進路指導を担当する教員の大月正さん(55)は大忙しだった。総合型選抜(旧AO入試)と学校推薦型選抜(旧推薦入試)を受験する生徒たちの面接の練習を次々行っていた。毎年繰り返していることだが、今年はこれまでにない新たな“練習”が加わった。

 理系の大学を志望する、柳沢宗さん(18)の順番が来ると、部屋を移動しパソコンのある二つの部屋に別々に入った。まず二つのパソコンを柳沢さんの志望大学がオンライン面接で指定している会議システムZoomでつなぎ、動作に問題がないかを確認。それから画面越しの模擬面接に入った。

「本学の志望理由は?」
「関心のあるカリキュラムは何ですか?」

 柳沢さんは将来、人型ロボットのエンジニアになることが夢だ。その思いを志望動機に込め伝えた。練習を終えると、

「思いがきちんと伝わってきて、なかなかよかったよ」

 と大月先生。入試日までさらに数回練習を重ねブラッシュアップを図る。残る気がかりはただ一つ、と大月先生は言う。

「面接の当日、大学と問題なくオンラインでつながるか。初めてなので、それが一番心配です」

■プライバシーが心配

 コロナ禍で大学入試は例年にない様相を見せている。今年、多くの大学が総合型選抜と学校推薦型選抜に導入するオンラインによる面接やプレゼンテーションはその一つだ。文部科学省が受験生への配慮として推奨した。ところが大学にとっても、受験生にとっても初めてで、さまざまな懸念が持ち上がる。

 9月には複数の大学が、回線不良で試験が続けられない場合に面接を打ち切る可能性や、受験生の環境不備で試験に不具合が生じた場合は試験が成立しない可能性があることを募集要項などに記載していることが判明。全国高等学校長協会(全高長)がこれを指摘し、文科省は、通信環境に不具合等が生じた場合には受験生と個別に連絡を取り、代替措置をとるよう全国の大学に通知した。

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