全高長の調査でも「高校会場の問題」に声が多く上がった。公立高校の教員(55)は学校のネット回線の脆弱さを心配する。

「何人かの教員が同時にウェブ会議にアクセスするとフリーズしてしまうほど。そんな環境で入試はとても引き受けられない」

 全高長会長の都立西高校・萩原聡校長は言う。

「大学から事前の連絡や調整なしに、一方的に高校を会場に指定してくるケースが少なくない。高校で実施し、機器や通信の不具合が起き、入試がスムーズに実施できなかった場合、その責任はだれが負うのか。責任の所在が曖昧です。コロナの非常時、高校も教員も生徒のために力を尽くしたいと思うが、個々の学校によって環境も状況も違うことを理解し、大学にはきめ細かなコミュニケーションと柔軟な対応をお願いしたい」

 オンライン面接によって高校への負担は増しているが、大学にとっても準備や実施は決して楽ではない。とりわけ公平性や公正性の担保に苦慮している。

■公平性と公正性の確保

 昭和女子大学は高校に会場を依頼した大学の一つ。指定校推薦にオンライン面接を取り入れた。アドミッション部部長の藤島喜嗣さんは、その意図を次のように話す。

「本学は比較的早い時期に、大学の授業をオンラインで開始しました。そこで実感したのは、学生によって機器やネット環境に差があること。加えて、受講環境も自室の学生も、家族のいるリビングの学生もいて、まちまちでした。受験生には生活環境などに左右されない、公平な状態で面接を受けてもらえるようにしたいと考えました。周囲に第三者のいない公正さを確保するうえでも高校の協力を仰ぐことが一番いいのではと考えました」

 しかし、高校から会場依頼について多くの問い合わせが入った。これまで指定校とは密な関係を築き、高校の状況は理解していたつもりだったが「個々の事情まで想像が至らない点があった」と、藤島さん。

「例年は6月に高校に対して指定校推薦の説明会を行ってきましたが、今年は開催できませんでした。郵送やメールでのやりとりに限られてしまったことが痛かった。会場については、高校での実施が難しい場合はご相談いただき、大学で対面で対応する方針です」(藤島さん)

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