介護にはお金がかかる。2025年には要介護認定者が780万人に上り、自己負担額も増える見通しだ。もし親が払えなければ子どもが負担するのは世の常。当事者の話をきいた。
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1980年代に人気を誇ったアイドルグループ「おニャン子クラブ」の元メンバーの新田恵利さん。
現在、夫と実兄と2世帯住宅に住み、92歳になる実母(要介護4に申請中)の介護をしている。かかる費用は基本、新田さんが負担している。
「親の年金で介護ができている人はうらやましい。うちの母は、支払期間が給付条件に満たなかったので年金がなく、貯蓄もないから」
介護ベッドや車椅子などのレンタル代に、週2回の訪問看護や週1回の訪問入浴など月々6万円ほど。おむつ代やビニール手袋などの消耗品の出費もある。
高齢のため、けがや病気などで入院することがあると、臨時出費となる。この8月にも10日間入院した。費用は6万8400円だったが、これにおむつ代約1万3千円、介護タクシー代が約2万1千円かかった。
そんな介護生活も7年目。新田さんは、自身の体験をもとに全国で介護に関する講演活動をしている。コロナ禍で、大きく収入が減ってしまったが、母の介護の費用に充てている。
「出費は最低限に抑えているのですが、介護はやはりお金がかかります」
自営業の武知エリカさん(50代)は、13年近く母(90)の介護をしている。最初はお泊まりデイサービス、次に有料老人ホーム、その後同居しての在宅介護のときが「とにかく、出費がすごかった」と振り返る。
月々の金額は、
「毎月40万~50万円ほどでした。(介護保険を利用した公の)ヘルパーさんだけでなく、民間の家政婦さんにもお願いしていました」
時間も費用も負担が増え、仕事もこれまでどおりにはできなくなり、収入は減った。
「親のお金も使っていましたが、自分も母も蓄えが減り、このままでは破綻すると思いました。兄妹で実家の売却などについても話し合い、成年後見人をつけることにしたんです。そこで、『施設を利用しないとお金がなくなる』と助言され、施設介護に変更しました」