メンバーがタイトなスケジュールに追われていたのを垣間見たことがあったという。

「音楽番組の収録を終え、僕らとレコーディング作業をして、さらに次の日にまたテレビの収録があるからと、そのままダンスの練習に行っていました。本当に一体いつ寝るんだ、と驚かされるほど、彼らは頑張っていました。多分、今の彼らの成功の理由はそこにあると思います」

 グループとして過密なスケジュールをこなす傍ら、ソロとして楽曲制作に励むメンバーもいる。RMが15年にミックステープ『RM』をリリースしたのを皮切りに、16年にSUGAがAgust D名義で『Agust D』を、18年にJ−HOPEが『Hope World』を発表した。

「デビュー当初、RMはラッパーのリック・ロスが好きだと言っていて、よく知っているなと思いました。本当に音楽が好きで追求したいという情熱を持っているから、自分のミックステープを出すのは、彼らにとって当たり前のことのようでした。忙しい合間をぬってソロまで作っていたのは驚きましたけど、誰かから提供される音楽を表現するよりも、彼らは自分たちで作りたいという、こだわりと情熱を持っている。ただのアイドルではなく、デビュー当初から彼らは本気で音楽に向き合ってきているんです」

 BTSの「父親」や「第8のメンバー」とも称されるメインプロデューサーのPdogg(ピードッグ)も並外れた人物だという。「血、汗、涙」「I NEED U」「DNA」「FAKE LOVE」「Boy With Luv」など多くのヒット曲を手がけている。

「Pdoggは、新曲のレコーディングで何カ月ぶりかに会うと、姿が変わっていたことがありました。髪の毛はぼさぼさで、ひげも伸びていて、山にこもって修行でもしてきた仙人のように様変わりしていました。そんな身だしなみすら気に掛ける余裕がないほど打ち込む姿を見て、本当に感銘を受けました。もちろんその度に作る音の精度がどんどん上がっていきました。スタッフを含めて、会社ごととても努力家だと思います」

 ちなみに、Pdoggはトンカツが好きで、東京に来た時は「イマカツ六本木本店」を訪れるようだ。(本誌・岩下明日香)

週刊朝日  2020年12月4日号

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