■ベテランちさん “東大生タレント”にはない魅力を発信
関西きっての名門、灘高校を卒業し、東京大学医学部医学科に所属する4年生。本名の「青松輝」名義では、短歌の創作活動も行う。
「灘高校から東大理3受けるやつあるある」や「東大理3入試のおもひで」など、出身校や受験を題材にしたクスッと笑えるエピソードが受験生や大学生の共感を呼び、人気が広がった。23年1月時点で、チャンネル登録者数は14万8千人超。最近ではテレビのバラエティー番組に出演したり著書を出したりと、活動の幅を広げている。今後、タレントとしての活動も視野に入れているかと聞くと「YouTuber専門の事務所から声をかけていただいたこともありますが、断りました」ときっぱり。
「いわゆる『東大生タレント』になってしまうと、本人の意思に関わらず、世間が期待する東大生像を演じなければならない場合もあると思います。そういうのがしんどいから、YouTubeをやっている面もある」
小さいころから音楽やお笑い好きで、人前で表現することへの関心が高かった。チャンネルを開設したのは20年4月。国内で新型コロナウイルスの感染拡大が始まり、在宅の時間が増えたことに背中を押されたという。
「短歌の活動をしている中、一部の人にしか届いていない感覚がありました。逆張り精神が強く、YouTubeというメジャーな手段で発信するのはダサいとも思っていましたが、だからこそ、あえて自分自身を裏切るようなことに挑戦してみようと考えたんです」
灘から東大理3という鉄板のエリートコースに注目が集まりやすいが、本人は「学歴の話題には興味がない」と語る。
「自分が受かれば、大学はそれでいい。学歴ネタはあくまで視聴者を集めるための『フック』。そこに惹かれて見に来てくれた人に予想を裏切る面白さを提供することを常々意識しています」
卒業後にどんな形で活動を続けていくかは考え中だ。
「たとえ医師になっても、YouTubeであれ短歌であれ、何かしらの形で表現活動は続けたいと思っています。『学生』というのはある意味で中ぶらりんな立場ですが、そのことをプラスにしたい。今は自分の中から出てくる感覚に嘘をつかず、一つひとつ丁寧な情報発信を心がけていこうと思っています」