白樺に寄生するチャーガ。紀元1世紀にギリシャ人の医師が効能を説き、アイヌ民族も古くから珍重したという(写真:油屋さん提供)
白樺に寄生するチャーガ。紀元1世紀にギリシャ人の医師が効能を説き、アイヌ民族も古くから珍重したという(写真:油屋さん提供)
この記事の写真をすべて見る

 ロシアの世界的な研究施設が「新型コロナに効く」と認めたキノコ、チャーガ。 実用化に向け研究途上だが、日本でも驚きの効果を発揮した例があった。 AERA 2020年12月14日号で掲載された記事を紹介。

*  *  *

 ロシア国立ウイルス学・生物工学研究センター(通称・ベクター)の専門家が、白樺のキノコをベースにした新型コロナウイルスの治療法を発明した──。11月上旬、ロシアの有力全国紙「コメルサント」にこんな記事が掲載された。チャーガ(和名・カバノアナタケ)というこのキノコは、日本でも生活習慣病などの治療に効果をあげた例があるという。

■2カ月で腫瘍が小さく

「チャーガは主にロシア・シベリア地域に分布する白樺の幹に寄生し、樹液を栄養に20年以上かけて成長します。2万本に1本しか見つからない希少性から『森のダイヤモンド』と呼ばれ、古くから日常的に飲用してきたアレクサンドロフ郡の住民は、がんの発症率が極端に低いという医学データも出ています」

 こう語るのはチャーガの効果に注目し、吸収を高めるための超微粒子化など独自加工技術に取り組んでいる「グローバルデベロップメント」社長の油屋康さん(57)だ。

 チャーガには免疫細胞を活性化させるβ‐D-グルカン、血糖値を調整する多糖類、コレステロール値を正常に保つベツリン酸などが多く含まれており、がんの進行抑制や肝障害の改善、HIVの抑制などの効果を認めた論文が多数出されている。

「ベクター」内の菌学研究所長であるタマラ・ウラジミロフナ教授は今回、新型コロナウイルスに対してチャーガ水性抽出物が高い阻害活性を持つと確認し、メディアにこう答えた。

「治療薬として開発するにはさらなる研究が必要だが、既に発症している患者には、医師の処方薬と並行してチャーガの濃縮水性抽出物を服用することを推奨できます」

 東京都立駒込病院の篠浦伸禎脳神経外科部長は、担当した男性患者の脳腫瘍が劇的に改善したのを目の当たりにした。この患者は2016年、水頭症の手術を受けた時の検査で松果体の腫瘍が見つかり、駒込病院に転院。腫瘍が増大して意識障害などが表れたため、いったん脳圧を下げて急場をしのぎ、2カ月間リハビリのため他院に転院後、再入院して切除手術をすることになった。篠浦医師はこの間、母親の希望に応じてチャーガの市販品を飲ませることを許可した。すると再入院時には腫瘍が大幅に縮小していたという。

次のページ