2月に食中毒で緊急入院したジャーナリストの田原総一朗さん。土曜日の「朝まで生テレビ!」の放送前から具合が悪く、放送終了後、自宅に帰ってから病院へ運ばれた。命に別状はなかったが、さまざまな恐怖を感じたという。
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日曜の午前には、この先ベッドからおりられないのではないか、もう歩けなくなってしまうのではないか、などと想像してしまい、強い恐怖を感じた。月曜になって担当医の説明を受け、ようやくひと安心することができた。
これまでの人生で無茶苦茶をやってきたツケなのだろうが、一方で、こう考えた。
たいした能力もない自分がここまでやってこられたのは、人一倍、好奇心が強く、何でもおもしろがることができる性格だったからだ。それが私の唯一の才能であり、ほかにとりえはないと思っている。何事にもすぐ疑問を感じるから、直接聞いて確かめたくなって、政治家やら専門家やらさまざまな人に会いに行く。自らの好奇心にまかせて、おもしろがりながらやってきたのだ。
今も、好奇心は抑え切れないほど強いし、その対象もさまざまだ。政治にはもちろん関心があるし、原発問題の今後にも大いに関心がある。かと思うと、AKBにも関心があり、とうとうインドネシアのジャカルタまでライブを見に行ってしまった。興味をもったことは、とことん掘り下げずにはいられない。今は、哲学にも興味がある。
何でもやりたいおもしろがり人間で、ちょっとやりすぎたのかもしれない。これからは自分の好奇心をやや裏切って、もう少し、詰めすぎないようにやっていこうと思う。
※週刊朝日 2013年3月15日号