※写真はイメージです (GettyImages)
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被虐待高齢者からみた虐待者の続柄 (週刊朝日2020年12月25日号より)
被虐待高齢者からみた虐待者の続柄 (週刊朝日2020年12月25日号より)

 超高齢化社会を迎え、家族による親への虐待が深刻になってきた。“孝行心”や愛情から踏み切った自宅介護。だが介護に疲れ果て、気づかぬうちに虐待へとエスカレートしてしまう。介護する側とされる側。両方が悲しまない七つの対処法を伝える。

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「育ててもらった親を自分で介護したい」と孝行心から介護生活に入り、懸命に介護した末の虐待も目立つという。

 自宅介護の虐待問題などに取り組むNPO法人「となりのかいご」(神奈川県伊勢原市)の川内潤代表理事が、こんな虐待のケースを振り返った。

 ある共働き夫婦は自宅で認知症の母親を介護していた。仕事で忙しく、自然と冷凍食品の買い置きは増える。

「認知症は空腹感を覚えやすい。母親は冷凍食品をあさり、下痢を起こして家中を排せつ物で汚してしまう。息子さんは、何度も母親におなかを壊すから食べてはだめだと言うが、繰り返される惨事に耐えかね、親を殴り続けてしまったのです」

 排せつで汚れるからと日中、裸にしていた事例もある。マンションの集合玄関で他人の郵便ポストをあさる親も。子どもはそのたびに「どうしてわからないんだ」と叫び、親をまるでしつけのように、脅かしてやめさせようとした。

 日本福祉大学の湯原悦子教授は、ささいな行動が悲劇を生みかねないと警告する。

「50~60代の人間の力で高齢者を押さえれば、もろい体はあっけなく死んでしまう。それだけで『介護殺人』となるんです。認知症患者の血管はとてももろい。暴れる親を止めようと息子や娘が体を押したら、壁にぶつかって頭の血管が切れて死んでしまったという事例もあります」

 虐待しないためには、どうすればいいのか。

「自分で介護することが親孝行、などと思わないこと」と川内さん。次のようにアドバイスする。

(1)自宅介護などで自分が介護当事者にならない。そして、(2)親と物理的・精神的に距離をとる。

 親がヘルパーの訪問などを嫌がると、自分で介護をと、責任を背負い込みやすい。ただ実際、自分でなければできないというものは案外少ない。思い切ってヘルパーなどプロに任せてみよう。親が新しい環境を敬遠するようなら、短時間の介護サービスを使って慣れてもらう。一緒に施設を見学するなど、「できる限り自分の生活と介護を切り離すのが重要」(川内さん)。

 ある家を訪問したとき、泣きながら庭の剪定(せんてい)ばさみで母親を殴り続ける場面に遭遇。「疲れ果てて苦しみながら親に手を上げる、介護虐待の業の深さを思い知った」(同)だけに、(1)や(2)が大事だとする。

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