昨年、推定5億7千万円と現役最高額で契約更改をした巨人の阿部慎之助選手。一方で同時期にヤンキースと2年契約を結んだイチロー選手の契約金額は総額1300万ドル(12億900万円。1ドル=93円で換算)だった。1年だと6億円以上で、阿部選手を上回ることになる。投資助言会社「フジマキ・ジャパン」の代表、藤巻健史氏は日本プロ野球選手の年俸を上げるべきだと訴える。

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 この年俸の差は大リーグと日本プロ野球の選手の能力差というのならば、それはそれで納得できるが、それでは、「日本のプロ野球は大リーグの2軍だ」と認めてしまうことになる。

 阿部選手の契約更改のニュースが流れた日、「景気のいい話は結構だが、一般の企業にはリストラなどで苦しんでいるところも多い。それなのに、プロ野球だけが大盤振る舞いしていいのだろうか?」というコメントを読んだ。

 確かに、おっしゃりたい心情はわかるのだが、これは経営者側の発想であり、消費者側(視聴者側)の発想ではない。

「もっと大盤振る舞いして優秀な日本人選手を引き留めよ。他国から優秀な選手を引き抜いてこい」が消費者側の発想だ。そうすれば国内組の層が厚くなり、先日のWBCでも侍ジャパンは優勝できたかもしれない。

週刊朝日 2013年4月5日号

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藤巻健史

藤巻健史

藤巻健史(ふじまき・たけし)/1950年、東京都生まれ。モルガン銀行東京支店長などを務めた。主な著書に「吹けば飛ぶよな日本経済」(朝日新聞出版)、新著「日銀破綻」(幻冬舎)も発売中

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