“元”人気YouTuberの「ワタナベマホト」(28)が10代の女性にわいせつ画像を送らせていた問題は、近年、若い女性の間で被害が広がる「デジタル性暴力」の典型例ともいえる。Twitterなどでは「女の子の脇が甘い」「どっちもどっち」といった意見も目立つが、性暴力被害者の支援団体は「被害者を責めるのはおかしい」と話し、性暴力を“やらかし”として消費する文化にも警鐘を鳴らす。
【画像】どちらが悪質?過去に9回BANされたYouTuber
* * *
「一部のファンは彼を擁護するかもしれませんが、周りの大人が、それはおかしいよと言ってあげないと。被害女性を責めることは、もし、自分が被害に遭ったときに声を上げられないということ。加害者が逃げ切れる社会につながります」
と話すのは性暴力被害に遭った10代の女性たちを支援している一般社団法人Colabo代表の仁藤夢乃さんだ。
性暴力の問題では必ずといっていいほど、「被害者の女性のほうに非がある」という意見が出てくる。例えば女性が痴漢に遭ったときに、短いスカートをはいていたのが悪いと非難されることがある。しかし、加害者はうっかり女性の身体を触るわけではなく、常に相手や状況を選んで犯行に及んでいる。明らかに悪質ではないか。
案の定、今回の問題でも「同情できない」「まあ、このケースは女子高生も悪いよね」といった声が出てきている。「最初は被害女性から画像を送った」という情報があることも影響しているようだ。
「性暴力の加害者は、抵抗できない立場や状況を利用します。多くの場合自分より立場が上の人を相手に選びません。今回のワタナベマホトの件は、相手が自分のファンで、未成年。対等な立場とはいえませんよね。好意を利用して、わいせつな画像を送らせるのも典型的なやり口です」(仁藤さん)
被害者の女性の親世代は、ワタナベマホトが若者にどんな存在だったかピンとこないかもしれない。わかりやすく言えば、10代にとって、人気YouTuberはテレビに出ているタレントと同じような存在なのだ。ワタナベマホトが登壇するイベントに参加したことのある30代の女性は、客席の歓声の大きさに驚いたという。