――なるほど、新会社設立の理由はわかりました。では、具体的にはどんな流れだったのですか?
片岡 映像事業を継続するためにはどんな方法があるかを検討するなかで、事業部を縮小する案、社内で分社化する案、そして今回採用したファンドの傘下でカーブアウト(社外の別組織として独立)する案など、いろいろな案を検討しました。
そんななかでお話を進めることができたのが日本産業パートナーズ(JIP)でした。基本合意が昨年の6月。そこから詳細を詰めていって、9月に本契約して、いまにいたっているわけです。
JIPは、会社の中から事業を切り出して黒字化し、再生することに長けています。実例を挙げると、ソニーのPC事業の「VAIO」をカーブアウトして独立させています。ファンドと聞いて想像されるような買った事業をバラバラにして売ってしまう、というようなことをほとんどしていない。じっくりといっしょにやっていけるファンドというのがわれわれとしては理想だったんです。
いろいろな案を検討するなかで、JIPがいちばんパートナーとして相応しいと思いましたし、向こうもぜひ、いっしょにやりましょうと言ってくださった。両方の思惑が一致したということです。
単に「社内で分社」する、といっても、市場の変化に対応できる組織作りが簡単にできるわけではありません。それよりも「独立」について知見のあるJIPの元で再生したほうがよいのではないかという流れに話がシフトしていって、最終的に一本化したわけです。
実際に、JIPの元で独立したわけですが、その際に膨大な作業が発生しました。インフラ一つとっても、すべて新しく立ち上げなければならない。そんな大きな組織の変革を「分社」という名目ではできなかったと思います。
やはり、覚悟して、組織を切り出さなければいけないんだな、となったから、みんながそこまでやることができた。なかなか、本当の意味で痛みをともなう構造改革って難しいな、と実感しました。そういったことからも、今回の選択は間違っていなかったと思います。
――いまのお話にもありましたが今後、JIPとはじっくりといっしょにやっていけそうですか?
片岡 もちろん、これまでの映像事業部の実績がここ数年、赤字でしたから、まずは「出血」を止める。そこは厳しい目でチェックされます。ただ、JIPは1から10まで全部、こちらの指示に従いなさい、ということではなくて、いっしょに考えましょう、という姿勢でやっていただいているので、今回の選択はよかったと思っています。
(構成:アサヒカメラ 米倉昭仁)
<後編>新生「オリンパス」が目指すカメラとレンズの新製品とは? 新会社幹部に聞くへ続く