2021年1月1日にオリンパスから独立し、新たに設立されたカメラメーカー「OMデジタルソリューションズ」とは、いったいどんな会社なのか? カメラブランドとしての「オリンパス」はどうなるのか? 今後もきちんと新製品は出るのか? カメラファンにはおなじみの写真家・赤城耕一さんがCTO(最高技術責任者)、片岡摂哉さんに聞いた。ちなみに、お二人は旧知の間柄だそう。
――私、片岡さんが新会社にいらっしゃらなかったら、どうしようかと心配していたんですよ。やはり、カメラというのは「人なり」というか、製品づくりに対して思い入れのある「人が見える」ことが大切だと思うんです。片岡さんは新会社で経営者の一人としてCTOを務められていらっしゃるわけですが、エンジニアとして開発にも携われるんですか?
片岡 はい、最高技術責任者として、開発と製造のすべてを見ています。
「オリンパス」という名前には非常に大きいものがある
――新しく立ち上がった「OMデジタルソリューションズ」ですが、この社名はどのよう決まったのでしょうか?
片岡 いろいろな案を検討しましたが、オリンパスから独立する、そのうえで、「映像事業を続けていきますよ」ということが世間にきちんと伝わるような社名にしたかったんです。まあ、いまだに「米谷カラー」というのもあるんですが(笑)。
――米谷(美久)さんは1972年に発売した名機OM-1(発売当初の名称はM-1)に始まるOMシステムの生みの親ですからね。Oはオリンパス、Mは米谷さんの頭文字という噂を聞いたことがあります。
片岡 米谷が「OM」開発時に示した考え方、例えば、これまでになかったものをつくるとか、いい写真が撮れればカメラが大きくてもいいという話ではまったくないとか。そしていまも、われわれはその考えに沿って製品づくりをしている。要は、マイクロフォーサーズで、従来、重くて持っていけなかった場所にもカメラを持って行ける、手持ちで撮れる。雨が降っても撮れるとか。昔もいまも、われわれが考えている製品の価値は変わりません。そのうえで、事業を続けていきます、というメッセージを込めるには「OM」がいちばんいいと考えました。
――ただ、私も含めて、多くのユーザーが心配しているのは、「オリンパス」のロゴをいつまで使えるのかな、と。極端な話、未来永劫使えるのか? カメラのブランド名が変わるとユーザーにとってはショックですから。
片岡 少なくとも当面は「オリンパス」でいきます。われわれには映像ブランドとしての「オリンパス」を育ててきたという自負があります。でも、実体としてオリンパスから離れ、これからもずーっとオリンパスという名前でやっていくのがいいのか。そこはよく考えたいと思っています。