巨人からDeNAに移籍して活躍したロペス (c)朝日新聞社
巨人からDeNAに移籍して活躍したロペス (c)朝日新聞社

 プロ野球で最も即効性のある補強と言えば外国人選手となるだろう。しかし最近ではソフトバンク巨人が実績のない若手を積極的に育成選手として獲得して一軍の戦力として育てており、広島のドミニカカープアカデミーも一時は停滞していたが再び機能を取り戻しているように見える。

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 またその一方で各球団で方針の違いを感じるのが外国人選手を見切るタイミングだ。そういう意味で昨年話題となったのが阪神でプレーしたボーアだ。開幕直後は不振だったものの99試合で17本塁打と長打力は存分に発揮しており、もう1年様子を見ても良かったのではないかという声は多かった。このような声が出るのは、阪神の外国人選手の歴史が影響しているのではないだろうか。

 その筆頭はやはりバースになるだろう。85年、86年と2年連続三冠王という圧倒的な成績を残していながら88年のシーズン途中に家庭の事情から解雇となっている。その後阪神の低迷時代が続いたこともあってこの球団の対応への疑問の声は根強く、30年以上経った現在でも「バースの再来」を望む声は根強い。

 もう1人、阪神に苦い思い出として残っているのがオマリーだ。91年に来日して4年連続打率3割をマークしていたものの、ホームランの少なさを理由に94年限りで退団。しかし翌年ヤクルトに移籍すると31本塁打の大活躍でチームの日本一に大きく貢献したのだ。もしボーアが日本の他球団に移籍するようなことになっていれば、オマリーの悪夢を思い出す阪神ファンも多かったのではないだろうか。

 ただ、阪神の見切りの早さが全てマイナスに働いているわけではない。14年に来日していきなり打点王を獲得したゴメスは日本で最後のプレーとなった16年も22本塁打、79打点という成績を残し、まだまだできるという声もあったが自由契約としている。そしてゴメスはその後主要リーグでプレーすることなく引退となっているのだ。これは阪神の見切りの早さが奏功した例と言えるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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阪神以外で“見切り”の早さが目立つのは?