■食道外科専門医認定施設で手術成績が良好

 病院を探す場合、日本食道学会の食道外科専門医と食道外科専門医認定施設かどうかが参考になると、両医師はいう。術後合併症率および5年生存率の成績などは、認定施設のほうが、非認定施設よりも良好であるという調査結果が、日本食道学会で発表されている。

 また、手術実施数が多く治療に慣れた病院を両医師は勧める。

「同学会の認定施設の条件に、手術実績が5年間で50例以上、があります。年間では10例ですが、年間20例あったほうがよりいいと思います」(安部医師)

 また、集学的治療を受けられる病院がいいというのも、両医師の一致した意見だ。内視鏡治療、手術、放射線治療、化学療法などの専門家がそろっている病院のことである。

 ランキングの一部は特設サイトで無料公開しているので参考にしてほしい。「手術数でわかるいい病院」https://dot.asahi.com/goodhospital/

【医師との会話に役立つキーワード】

《反回神経》
胸から声帯に向かう一対の神経。食道がんでは、この神経の近くのリンパ節に転移しやすく、リンパ節郭清の際に神経が障害され反回神経麻痺が起こることがある。症状は、声のかすれ(嗄声)、誤嚥しやすいなどで、通常は3~6カ月程度で回復する。

《胸腔鏡・腹腔鏡》
胸部や腹部を小さく切開しカメラや手術器具を挿入し、内部をモニターに映して手術する機器。胸部を6カ所ほど、0.5ミリ~1センチ程度切開し、胸腔鏡を用いて食道を切除。腹部を5カ所ほど切開し、腹腔鏡を用いて胃管をつくり食道を再建する。

【取材した医師】
愛知県がんセンター病院 消化器外科部 医長 安部哲也 医師
国立がん研究センター中央病院 食道外科長 大幸宏幸 医師

(文・山本七枝子)

※週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2021』より