開幕まであと約3週間となった今年のプロ野球。2月下旬には各社から選手名鑑が発売されたが、ベンチでは新戦力をチェックする現役選手の姿を見かけることも珍しくない。多くの名鑑の最後には選手名の索引が掲載されているが、2021年に最も多い名字は「鈴木」の13人、2位は「田中」の12人、3位は「佐藤」と「高橋」の11人となっている。野球選手にかかわらず、日本国内に多い名字が上位を占めているという印象だ。
そんな中で絶対数はそれほど多くないものの、将来チームの中心となる有望な若手が多い名字が存在していることに気づいた。それが「井上」だ。改めて現在NPBの12球団に所属している井上姓の選手を並べてみると以下のような顔ぶれとなっている。
井上晴哉(ロッテ)
井上広大(阪神)
井上温大(巨人)
井上広輝(西武)
井上朋也(ソフトバンク)
今年で8年目、32歳となる以外の4人が高校卒2年目以内に集中しているのだ。まず知名度的に最も高いのが井上広大になるだろう。履正社では4番打者として3年夏の甲子園では奥川恭伸(ヤクルト)から一発を放つなどチームの優勝に大きく貢献。ルーキーイヤーの昨年はウエスタンリーグで2位タイとなる9本塁打を放ち、シーズン終盤には一軍で初ヒットもマークしている。
恵まれた体格ながら、力任せではなく楽に振って遠くへ飛ばせるというのは大きな強みである。キャンプ終盤に左膝を痛めて別メニュー調整となったのは心配だが、それまでは練習試合で4番を任されるなど順調な成長ぶりを見せている。ドラフト1位ルーキーの佐藤輝明とともに阪神の未来を担う存在として期待だ。
昨年秋のフェニックスリーグで評価を上げたのが井上温大、井上広輝の投手2人だ。井上温大はとにかくフォームの良さが目立つサウスポー。高校時代は大舞台での経験はなく、1年目は主に体作りが中心だったが、シーズン終盤に二軍で初勝利をマーク。そして先述したようにフェニックスリーグでは4試合に登板して防御率1.67という抜群の成績を残している。今年はまず二軍のローテーションに定着することが目標となりそうだが、同じサウスポーの田口麗斗がトレードでヤクルトへ移籍しただけに、一軍抜擢のチャンスも十分に考えられるだろう。