愛知県の大村秀章知事のリコール署名活動の問題で、愛知県警の捜査が進むが、偽造署名の真相は今も判然としない。
その中で、注目されているのが、リコール署名活動の事務局長だった元愛知県議員の田中孝博氏である。
リコール署名活動は美容整形外科医として有名な高須克弥氏と名古屋市の河村たかし市長が主導した。しかし、高須氏は記者会見で「私は表に出て、河村市長と活動をした。事務的なことは全て事務局長の田中さんに任せていました」と説明。その結果、署名数は足りず、リコール不成立だった。その上、偽造署名簿を作成して、愛知県選挙管理委員会に提出したという疑惑まで浮上している。
本誌は佐賀市で作成されたとされる偽造署名簿のコピーを入手した。
<大村知事のリコールを私たちは求めます>
こうしたキャッチコピーが謳われ、高須氏と河村氏のツーショット写真が並ぶ。その下に10人分の署名欄はある。そこには愛知県尾張旭市の県民と見られる署名が7人分書かれている。7人分の筆跡は同一人物ではないかと思うほど、似ている。
また住所も尾張旭市の同じ町、すべて2丁目となっている。また、番地は1-4、1-5と規則正しく並んでいる。拇印が数カ所に押されているが、印鑑を押している人はなかった。
佐賀市で偽造署名簿のアルバイトをした女性に本誌が入手した名簿を確認してもらった。
「私がデータから書き写したものも、住所は規則的に並んでいた。また、拇印を押すように指示されました。たぶん20人くらいは押した。署名欄には10人まで書けますが、7、8人にするようにと言われた。偽造署名簿は作業したものと似ている」(女性)
本誌は入手した偽造署名簿を河村氏にも確認してもらった。
「偽造署名簿は住所が順番に並んでいるでしょう。わしの情報と一緒だ。わしの調べでは、書き写しの元のデータは業者などから買ったらしいという情報が入っている」(河村氏)