河村市長が党首の地域政党「減税日本」は2010年に名古屋市議会の解散を求め、署名活動。リコール成立、市議会解散、選挙に持ち込んだ実績がある。

「うちは経験者だから署名集めを一緒にやるものと考えていた。だが、田中氏から、手伝わなくていいと言われた。その上、煙たがられたので、何も協力しなかった。うちがやれば、もっと署名数も多かっただろうし、偽造署名なんて絶対になかった」(減税日本幹部)

 河村氏によると、クラウドファンディングで5千万円近くの寄付が集まったのにいまだに会計報告もない。署名提出直前も、田中氏の不自然な行動はあった。

「すべてを知るのは田中氏だ」と減税日本幹部は言う。

 一方、田中氏は記者会見で「署名偽造を外部に発注などしていない」と疑惑を一貫して否定していた。捜査関係者がこう話す。

「佐賀市の偽造署名のアルバイト発注書には田中氏の名前や印鑑があった。現金で470万円ほど支払って業者が動いて、人を集めて作業をしている。田中氏からも近く事情を聴く予定だ」

 河村氏の進退が注目の名古屋市長選挙は4月11日告示で4月25日が投開票となり、あと1ヶ月もない。

「大騒ぎになっているが、容疑が地方自治法違反と軽微なものだから、強制捜査、Xデーまで時間はさほどかからない」(前出・捜査関係者)

 市長選の出馬表明をまだ、していない河村氏に再度、真意を聞いた。

「市民、県民のご迷惑をかけて、申し訳ない、悩ましいことだわな。市長選かね? まあ、出馬しなかったら、疑惑を認めたとみられるかとの思いはある。だが、署名問題だけではなく、コロナ対応もあるし、今の段階では、話はできやせん」

 捜査の行方が注目される。(今西憲之)
※週刊朝日オンライン限定記事

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