放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、映画「花束みたいな恋をした」について。鈴木さんは40代以上の男性にぜひ観てほしいといいます。
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今年公開になって、ずっとヒットし続けている映画『花束みたいな恋をした』をようやく見ることができました。脚本家・坂元裕二さんによるオリジナル脚本ということで公開前から注目していた方も多いと思います。監督は土井裕泰さんで、主演は菅田将暉さんと有村架純さん。恋愛映画として、まさにベストキャスティング。昔は恋愛ドラマのキャストだけを見て「うわ、この恋愛ドラマ見たい!」と言う作品多かったですが、最近、そういうの少ない。恋愛ドラマ自体が減ってしまったから仕方ないのですが、そういう面から見ても、ワクワクしますよね。しかも、坂元裕二さんが映画という枠の中でどんな恋愛物語を作ったんだろうと期待も膨らむ。
で、見に行きまして。劇場は六本木、20代が中心だと思います。30代のカップル的な人も多かったかな。正直、50近い男性で見に来ていた人はあまり見当たらず。
この映画、主人公の男女による5年間の恋を描いています。言ってしまえばただ恋をするだけの映画です。人が死ぬとか不倫するとか、裏切りの連続とかそういうのはまったくなし。よくある恋愛の物語なのですが、まあ、これがドキドキするし、一気に引きこまれてしまう。坂元裕二さんによるセリフの一つ一つに、クスクスさせられたり、チクっと刺されたりと。
この映画がこれだけヒットしているのって、コロナ禍で緊急事態宣言中ということもあり、世の中の人が恋愛すら楽しくできてないから、この映画を見て、恋愛の楽しさや切なさを疑似的に楽しんでるのではないかと。
恋をしてない人は恋したくなるだろうし、恋していた人は恋していた時の楽しさと切なさを思い出すだろうし、付き合ってる人同士は、楽しさと気まずさも感じるだろうし。