京都大学の「特色入試」に合格した人の素顔とは? 今回は京大経済学部への入学が決まった京都聖母学院(京都)出身の吉村京華さんにお話を聞いた。
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■浪人して「特色」に挑戦、思い実る
浪人後、特色入試に挑戦することを決めた。
高校3年のときは一般入試だけ出願し、不合格。特色入試の存在は知っていたが、「特別な経歴がないと難しいだろう」と思い込んでいた。ところが、浪人して改めて調べると、生徒会やクラブなど身近な活動も評価されることを知った。
大学に提出する志望理由書には、子どもの教育格差について記した。高校1年のとき、ホームレス支援団体で働く元当事者の講演を学校で聞き、関心を持った。家を失うのは働かない本人の責任で、自己責任だと思っていたが、その思い込みが覆されたという。
「その方は家庭が貧しく、手伝いに追われて満足な教育を受けられず、結果、困窮したと。すべての人が質の高い教育を受けられるにはどうすればいいのかを考えるようになりました」
京大を意識するようになったのは、小学3年のころだ。
「勉強・習い事・部活動と得意なことが何もなくて、そんな自分が嫌でした。トップレベルの大学を目指すことで、何においても平凡な自分を変えたいと思ったんです」
高校入学後は、休日でも1日8時間勉強した。苦しい浪人生活の合間に打ち込んだのはボールペンの点描画。文豪・太宰治やロックバンド「ゲスの極み乙女。」のボーカル・川谷絵音さんらを描き、部屋にも飾った。
10年越しで京大合格の夢を実現。かつての自分との変化は感じるか。
「学ぶ経験を重ねて、人から言われたことが本当に正しいのか吟味できるようになりました。たとえ人と違う意見を持っていても、今は発表することをためらいません」
(本誌・松岡瑛理)
※週刊朝日 2021年3月26日号