今季からヤクルトでプレーする内川聖一 (c)朝日新聞社
今季からヤクルトでプレーする内川聖一 (c)朝日新聞社

「国民の皆さん、そしてスワローズ(ファン)の皆さんが少しでも元気や勇気や、そんな気持ちになれるような試合をし、全力で戦ってまいりたいと思います」

【写真】「平成で最もカッコいいバッティングフォーム」はこの選手!

 3月14日のオープン戦終了後、神宮球場で開催された「2021年東京ヤクルトスワローズ出陣式」。あいさつに立った高津臣吾監督は、寒風吹きすさぶ中でスタンドに残ったファン、そしてテレビやスマホの画面越しにこの様子を見つめていたであろう燕党に向けて、そう誓った。

 来るシーズンのスタートを前に、チームとファンがともに戦う気持ちを1つにして盛り上がろうとの趣旨で行われたイベントである。普通なら監督の口から「優勝」という景気のいい言葉が出ても、おかしくはない。その2文字がなかったことが、ここ2年のチーム状況を物語っている。

 2019年、小川淳司監督(現GM)の下で最下位に沈んだヤクルトは、コロナ禍により6月開幕の120試合制という変則的なシーズンとなった2020年も、就任1年目の高津監督の下で最下位に終わった。2年連続のテールエンドは、1965~66年(66年は同率最下位)、1970~71年、1982~83年、1985~86年、2013~2014年に次いで6度目の球団ワースト記録である。

 1950年に国鉄スワローズとして誕生して以来、30年近くも優勝とは無縁で、リーグのお荷物のように言われていた時代もあるヤクルトだが、それでも3年連続最下位となると過去にも例がない。だから、その球団史上初の屈辱だけは、何が何でも避けなければならない。

 そのために昨オフは、例年にない活発な動きを見せた。まずは国内FA権を取得した投打の主力、すなわちエースの小川泰弘、守護神の石山泰稚、そして三番バッターの山田哲人に大型契約を提示し、引き留めに成功。一方で野手では内川聖一(前ソフトバンク)、投手では宮台康平(前日本ハム)、育成契約で近藤弘樹(前楽天、3月15日に支配下登録)、小澤怜史(前ソフトバンク)と、他球団を戦力外となった選手を積極的に獲得した。

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年明けも続いた補強