プレテストで話題を呼んだ、太郎さんと花子さんが登場する長い会話形式の問題は、本試験では分量が減りました。「入試では純粋な数学の思考を問うべきでは」と疑問視する声もありますが、出題形式には色々あっていいと思います。要は、出題の意図によるのではないでしょうか。加えて、今回のテストで「思考力・判断力・表現力」の何が測れて、何が測れなかったのか。今後の検証が大事です。

 数学は論理的思考を軸にする「言語」です。その意味では、共通テストへの記述式の導入には意義があると思いますが、採点のぶれの解消などすぐには解決できない課題が多く、25年からの実施は難しいと思います。高校生が理系、文系にかかわらず、「数学の言葉」を身につけ、各大学の個別試験で評価されることを願います。

(構成/編集部・石田かおる)

AERA 2021年3月29日号より抜粋