定期便にしたのは、使う人自身が使う量を考えるきっかけにしてほしいからだ。「なくなったら買う」ではなく「必要な量を考えながら買う」スタイルへ。価格は18ロール入りで1800円(送料は別途680円)。

「送料タダが好まれますが、結局、誰かが犠牲になるのは避けたかったんです」(松原さん)

 身近な商品を手にすることで、環境問題を自分事にしてほしい──。同じような思いから竹粉などを原料とする弁当箱を商品化。1月から販売を始めたのは、弁当コンサルタントの野上優佳子さんを中心とするsunahoプロジェクトだ。弁当のワークショップやレシピ本を手がける野上さんはこう話す。

「お弁当は前日に余ったものを使うことで食品ロスを減らせますし、容器も使い回す。知らず知らずに『エコ』なんです。その要素に見た目の楽しさが加わって海外でもBENTOとして評価されています。でもお弁当箱はプラスチック製が圧倒的に多い。仕事柄たくさん持っていて愛着のあるお弁当箱が、捨てる時には環境に害を及ぼす『悪者』になってしまう。そのことにずっと胸が痛んでいました」

 数年前から野上さんは、処分する際も環境負荷の少ない素材を求め、全国の工場や展示会を訪ねて回った。スギやヒノキなどの薄板を曲げて作る「曲げわっぱ」、ペットボトルのリサイクル素材や生物由来のバイオマスプラスチック──。試した素材は数知れないが、成形の難しさやコストの問題でいずれも断念した。そして19年、ある展示会で理想の素材に出合う。「プラントファイバーセラミック(R)*」だ。

 地球に優しい素材の開発・製造・販売を行うアミカテラ取締役で台湾人の王正雄(ワンジュンシウォン)さんが開発したもので、原料は竹や稲わらなどの植物。土に埋めると3~6カ月で完全に分解されるほか、燃やしても有害物質が出ない。

「竹」と聞いて野上さんは「竹害」という言葉を思い出した。ザルなどの日用品や建築材として日本で広く使われてきた竹が、安価で丈夫なプラスチックの普及によって需要が急減。放置された竹林が周囲の森林や里山を侵食、イノシシによる農業被害などを引き起こしている問題だ。

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