僕は卓球部だったんですが、部の顧問の先生は1年生の時からずっと僕を見ていて、あるとき「そんなに頑張りすぎるとみんなも引くし、君の心が壊れてしまうよ」と言ってくれたことがありました。先生はわかっていたんだろうなと思います。
友だちは僕のおかしな行動が病気のせいだとわからないから、普段なら絶対言わないような友だちの悪口を言う僕に対して「なんでそんなことを言うの?」「なぜそんなにテンション高いの?」という反応でした。まだ中学生ですから、無理もないですよね。
でも一緒に電車通学をしていた友だちは、具合が悪そうだ、なにかある、と気づいたんでしょうね。「うちに泊まりに来なよ」と誘ってくれたことがあって、そのことは今も鮮明に覚えています。
――定時制高校に入学してからはどうでしたか?
最初は「内部進学はあきらめざるを得ないから」というネガティブな感情が強かったですが、高校は自転車で10分くらい。朝起きられなかったから夕方から始まる定時制は好都合だったんですね。日中、母の実家の飲食店でアルバイトをさせてもらって、夜は学校に通ってという生活が、自分に合っていることに気づきました。
すぐに友だちもできて、病気のことも隠さず話しました。自分はちょっとこういう症状があるんだよとか。内心びっくりしていたかもしれませんが、みんな「ああ、そうなの」という感じでごく普通に接してくれました。普通に学校帰りに遊びに行って、特別扱いされることもない。それがとにかくうれしかったんです。
高校側には、入学前に精神疾患にかかっていることは伝えてあったんですね。だから先生が病気のことを理解してくれていて、「ちゃんと薬飲んだか?」「体調どうだ?」などと気にかけてくれました。精神疾患にかかわる知識も豊富。先生がわかってくれていることは、大きな安心感だったように思います。
高校生活はすごく楽しかったですが、病気のコントロールはうまくいきませんでした。薬を飲んでいても十分に症状が抑えきれないこともたびたびありました。
(文・熊谷わこ)