うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格した杉山奈津子さんも、今や小学生の男の子の母。日々子育てに奮闘する中で見えてきた“なっちゃん流教育論”をお届けします。
杉山さん自身が心理カウンセラーとして学んできた学術的根拠も交えつつ語る『東大ママのラク&サボでも「できる子」になる育児法』も絶賛発売中です。ぜひご覧ください。
【写真】息子が中学受験に挑戦したことで話題の芸能人といえば…
* * *
今年も受験が落ち着き、塾や予備校の窓に、有名校の名前と「合格者〇名」と書かれた紙が数多く貼り出されるようになりました。もはや風物詩とも言えるこの景色を見ながら、どうしても考えてしまうことがあります。
それは、「不合格は何人だったんだろう?」ということ。合格者数を堂々とアピールしている塾は数あれど、合格率や不合格者数も公開している塾はほとんど見たことがありません。実力をアピールしたいならば、本来、受験生の合格者数ではなく合格率を発表するべきではないでしょうか?
■ギリギリで受験を迷っている子には受けさせる
以前、大手予備校で講師をしていた知人が、こんなことを話していました。
「予備校は有名校の合格者数を増やしたいから、受かるか受からないかギリギリのラインで受験を迷っている子には、たきつけて受けさせる方向に向かわせろと言われているんだ。有名校に合格すれば合格者数が一人増えるけど、落ちても予備校側にダメージがあるわけではないから」
あまりにも辛辣なセリフですが、事実、いくつかの予備校には、全国にいる講師の方針をまとめて最大限の結果を出すために、進路相談の際のマニュアルが存在しているようです。ともすれば、生徒が講師に志望校の相談にのってもらうことは、ある意味、講師の背後にある「予備校」が望む道に誘導されるということになるわけです。
もちろん講師として、受け持った生徒には合格してほしいという気持ちはあるでしょう。しかし、予備校は、「学ぶ場所」であるのと同時に、「商売する場所」でもあることを忘れてはなりません。