■治療実績のほかにも参考にできる指標はある
次に「患者が病院にかかる前に調べられる情報で、『いい病院』かどうかを知るためにチェックすべき情報」について、任意で回答を集めた。多かったのは「手術数や患者数などの治療実績」「専門医の数」「病院のホームページ」「受診した患者の口コミ」など。そのなかでも、チェックするポイントとしては「所属医師の名前、顔写真と保有資格の明記」「スタッフの略歴」など、医師のプロフィルが公開されていることが挙げられた。顔写真や保有資格の明記が信頼度につながるのだろう。
ほかにも、「信頼できるかかりつけ医に、どこの病院、どの医師がいいか聞く」「院内の清掃が行き届いているか」「施設のさまざまな情報を公開していること」「院内やスタッフの雰囲気がいいか」という意見もあった。
具体的な参考ポイントと理由について、2人の医師に話を聞いた。「医療連携室のホームページの充実具合」と言うのは、東京都の開業医、福田元医師(糖尿病科・53歳)。医療連携室とは地域のかかりつけ医をはじめ、病院や施設をつなぐ窓口で、病院と診療所の連携を担う存在だ。ホームページで医療連携室の紹介に注力しているようであれば、こまやかさが必要な医療機関として信頼に値するという。予約のとりやすさ、受診者に寄り添うサービスの有無、担当者の氏名などを確認しよう。クリニックや診療所などで医療連携室がない場合は、「ホームページで医師のプロフィルを確認し、会って人柄を確かめることが、自分に合う医師を見つける方法だと思います」(福田医師)。
また、山口県の男性勤務医(泌尿器科・51歳)は「部長の経歴」を挙げる。部長とは、各診療科の長のことを指す。これは、経歴や肩書にこだわるということではなく、自分の治療に関わる医師の「強み」を見極めることが大切ということだ。
「手術を受けたい場合は、その医師がどの病院でトレーニングを受け、どれだけの手術件数をこなしているかをみる。『医師の技術力』は、いい病院・いい医師を探すためのひとつの指標になり、技術力のある医師に多くの手術を担当させるのがいい病院と考えられます」
一方、薬物治療であれば、トレーニングを受けた病院や留学先、論文数、受賞歴、資格の有無などのチェックをすすめる。
「薬物療法には知識と幅広い視野が重要で、多くの治療専門医と面識があることが、良好な治療成績をもたらすと考えられます」(男性勤務医)
手術数や治療数以外にもさまざまある「いい病院」の条件。患者自身がチェックできることもあるので、参考にしてほしい。
【患者がチェックできる「いい病院」情報】
●部長の経歴
・どのような病院でトレーニングを受けていたか
・留学先や論文数、資格の有無
●医療連携室の記載
・予約の取りやすさ
・各種サービスの有無
・担当者の氏名
●手術以外の治療の充実度
・各病院のホームページ
・全国DPC(診療群分類包括評価)
(文/出村真理子)
※『手術数でわかる いい病院2021』より